新磯節

新磯節

沖の小舟は 帆かけて走る
(ハァサイショネ)
舟は帆まかせ 帆は風まかせ
わたしゃあなたの 
心まかせに なる身じゃないか
(ハァサイショネ)

雨は天から 縦には降れど
風の吹き様で 横にも降るが
わたしゃあなたに
縦に振れども 横には振らぬ

度胸定めて 惚れたるわたし
要らぬお世話の 水差す人に
見せてやりたい
逢うたその夜の 二人が仲を

写真片手に つくづく眺め
顔や姿に 変わりは無いが
もしや心が
変わりゃせぬかと 目に持つ涙

広い世界に 主より他に
頼り渚の 身は捨て小舟
それにあなたは
沖津白波 空吹く風よ

わたしゃ荒磯 潮風育ち
沖の逆波 怖くはないが
恋の櫓櫂が
恋の櫓櫂が あのままならぬ

舟は帆まかせ あの風まかせ
浮くも沈むも 白波まかせ
わたしゃあなたの
わたしゃあなたの 取り舵まかせ

見やれ松原 チラホラ灯り
辛気くささに 磯節唄や
来ては泣かせる
鳴いて泣かせる あの浜千鳥